深刻化する最貧国の経済、日本は支援で指導力を 国際開発協会めぐる増資の行方と日本の役割
世界の最貧国の状況が悪化し、多くの国が債務危機に陥っている。そうした中、世界銀行グループの機関である国際開発協会(IDA)の増資交渉の行方が注目され、日本の役割に期待が集まっている。
世界銀行は、世銀・国際通貨基金(IMF)年次総会の約1週間前の10月13日に世界の貧困削減に関する報告書を発表した。
この報告書によれば、世界の貧困層の約40%を占める最貧国26カ国は2006年以来最大の債務を抱えているという。自然災害やその他の外部ショックに対して脆弱性が増しており、他国がコロナ禍を乗り越え、成長を回復させている一方で、これらの貧困国はコロナ禍前よりもさらに貧しくなっているとのことである。
また、これら最貧国26カ国では1人当たり年間所得が1145ドル未満であり、これらの国の平均債務の対国内総生産(GDP)比は72%となっている。これは2005年以来18年ぶりの高水準で、約半数の国が債務危機に陥っているか、リスクが高い状態にあるという。
公的債務のほとんどが外貨建て
最貧国の多くはサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ地域)の国々である。サブサハラアフリカの諸国の公的債務のほとんどはドルやユーロの外貨建てであり、対ドルでの自国通貨安で返済負担が大幅に膨らんでいる。また、米欧での金利上昇はアフリカからの資金の引き揚げという副作用をもたらしている。
資金不足に直面するアフリカの国々が金融市場から借り入れようとしても、非常に難しいか、極めて高い金利を要求される事態になっている。こうした途上国の債務不履行により世界経済の底が抜け、世界的な金融危機に陥る可能性も否定できない。
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