10月9〜15日に国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会でモロッコに集まった各国の財務相と中央銀行総裁は、経済と地政学上の惨事が重なる異様な事態に直面することとなった。ウクライナと中東の戦争、低・低中所得国における債務不履行(デフォルト)の波、中国の不動産不況、長期金利の世界的上昇──。こうしたことが、世界経済の減速と亀裂の広がりを背景に次々と起こっている。
だがベテランのアナリストたちを最も驚かせているのは、予期されつつも今のところ起こっていない惨事のほうだ。金利上昇とドル高という相当な向かい風にもかかわらず、主要新興国のいずれも過剰債務に苦しんでいるようには見えない。メキシコ、ブラジル、インドネシア、ベトナム、南アフリカ、そしてあのトルコでさえも、だ。この結果にエコノミストたちは頭を悩ませている。これは「嵐の前の静けさ」にすぎないのか。
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