アルゼンチン新大統領は「荒療治」を貫けるのか 「ドル化」の痛み避ければ高インフレの慢性痛
通貨ペソの対ドル価値を半分に切り下げたアルゼンチン。ミレイ新大統領の公約「ドル化」は突飛に聞こえるが、経済立て直しにはどのみち痛みを伴う。
12月10日、南米アルゼンチンで、ハビエル・ミレイ大統領が就任した。新大統領はその公約として、経済のドル化を掲げた。
ドル化とは、正確には「通貨代替」と呼ばれる経済現象である。具体的には、信用力が低い自国通貨の代わりに、米ドルやユーロといった信用力が高い外貨や貴金属を用いて、経済活動を行うことを意味する。
アルゼンチンでは独自通貨ペソが発行されている。しかし経済運営の失敗から、アルゼンチンは定期的に通貨危機に見舞われており、国民のペソに対する信用力は低下しきっている。この過程で、アルゼンチン国民の多くが、資産防衛の観点から、多額の米ドル紙幣を保有するに至った。
つまりアルゼンチン経済は、すでに高度にドル化した経済である。
ドル化=強力な金融引き締め
このドル化がどの程度進んでいるのか、実際に計測することは不可能である。なぜなら、自国通貨であるペソの規模に関しては、銀行の取引データなどから把握は可能であるが、米ドルに関しては、闇市場で取引されているため、実態を把握することができないのだ。
そういう意味で、アルゼンチンのドル経済は、同国の闇経済そのものと言えるだろう。
ではアルゼンチンにとって、ペソを廃止してドルを唯一の法定通貨にすることは、いったいどのような意味を持つのだろうか。
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