ドルに代わる国際通貨の覇権をBRICSは握れるか ロシアで開催されるBRICSサミットに注目せよ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2023年8月に南アフリカのヨハネスブルクで行われたBRICSサミットで登壇した各国首脳(写真・2023 Bloomberg Finance LP)

ノーベル賞をとった著名な経済学者サイモン・クズネッツ(1901~1985年)が、かつて述べた有名な言葉がある。経済成長の専門家であるクズネッツは、世界には4つの経済体制があると述べたのだ。その4つとは、先進国経済、発展途上国経済、そしてアルゼンチン経済と日本経済というのだ。

なるほど、後者の2つの経済体制は、長い海外植民地からの本源的蓄積を経て、産業革命によって豊かな国になった西欧諸国である先進国経済とはまったく違う。また、西欧に支配されたことでなかなか資本主義経済へ離陸できなかった後進国経済も、この2つの国には当てはまらない。

かつて、アルゼンチンは、先進国の別荘地のような農業国として豊かさを誇っていた。あくせく働いても収奪されていく他の発展途上国とは一線を画していた。

日本経済成長の特殊性

しかし、それは100年前のことで、いつのまにかどんどん経済は衰退に向かい、気がついてみたら国家破綻の常連国となり、いまでもこの国家は、混乱のまっただ中にある。

一方、日本は西欧から離れ、アジアとも一線を画し、いつのまにか経済成長を遂げ、G7の一角をなすほど豊かな国になった。日本経済の成長は、新自由主義とともにアジアの虎たちが経済成長するまでは、世界経済の奇蹟と言われるほどであった。

しかし、1990年代バブル崩壊とともに起こった経済停滞以降は、日本も一転してアルゼンチンの道を歩んでいるともいえる。

アルゼンチンと日本が、クズネッツをして本来の経済成長の枠の外に出る、特殊な国として位置づけられたことは、悲しいかな、意味深長である。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事