円高転換のタイミング見極める「3つのポイント」 今のドル高にはいつか終止符が打たれる
有事のドル高とはよく言われることだが、ロシアのウクライナ侵攻の前から、ドル高基調は始まっていった。借金大国のアメリカが戦争の費用を調達するためには、金利を上げてドルを強くし、他国にアメリカ債を買ってもらわなければならないからだ。そんな中で日本は、今でもアメリカ債の購入量において、圧倒的な1位の国である。
日米の金利差がある限り、円からドルへの資金シフトが続き、円安は続く。世界的なインフレの波に襲われているにもかかわらず、日本だけが低金利を続ける以上、その流れは変わらない。しかし、ドル/円は定期的に円安・円高をシーソーのように繰り返している。だとするならば、次の円高への転換点はいつなのか? 岩永憲治氏著『金融暴落! グレートリセットに備えよ』よりドルがピークアウトしそうなタイミングを解説する。
円安の要因となった戦争によるドル買い
世界最大の対外純資産国は日本。それでは逆に世界最大の対外純債務国はと問われれば、間違いなくアメリカである。この地位は数十年変わっていない。
「主要国の対外純資産・対外純債務」の図を見ていただきたい。対外資産(自国の政府・企業・個人が海外で保有する資産)から対外負債(外国の政府・企業・個人が国内で保有する資産)を差し引いてプラスなら対外純資産、マイナスなら対外純債務となる。
2021年末時点の日本の対外純資産は約411兆円で世界最大である。言い方を換えれば国外への貸し出しが世界一となるような金持ちの国なのだ。しかも31年連続して。
かたやアメリカは世界最大の借金大国であり、対外純債務、つまり外国に対する借金総額は世界最大の約2000兆円になる。それでもなお、世界最強の基軸通貨たるドルを持つアメリカがグローバル経済のなかで相対的に優位であるのは間違いない。
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