有料会員限定

「ドル安は一時的な調整ではない」「ドルの長期的な均衡価値も切り下がっていく」 ジム・オニール氏が警告

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
ジム・オニール氏(写真:ブルームバーグ)

私はもう、毎日市場に没頭しているというわけではないが、金融業界でエコノミストの仕事をしていた頃、早い時期に学んだ重要な教訓を決して忘れたことはない。それは、「間違うことは正しくあることよりはるかに容易だ」ということである。

有識者による政治・経済コラムを翻訳掲載。週刊東洋経済掲載分だけでなく、多くの選りすぐりのコラムもタイムリーにお届けする。バックナンバーはこちら

2025年に早くも生じた、驚くべき大きな出来事の1つについて考えてみよう。昨年末、ドナルド・トランプ氏が大統領選挙で勝利したことを受け、アメリカのドルは着実に上昇していた。

これは比較的堅調なアメリカの経済成長、追加の財政刺激策、そして新たな関税の導入やある程度の関税の引き上げによってドルがさらに強くなるという期待が広まったためである。

圧倒的なコンセンサスは疑ってかかれ

しかし現在、ドルは急落している。

私が金融業界で働き始めてすぐの頃に学んだもう1つのことは、既知の情報はすべてあっという間に価格に織り込まれてしまう外国為替市場の規模と奥行きを考慮すると、「圧倒的なコンセンサスは疑ってかかった方が良い」ということだ。

多くの場合、コンセンサスを形成するいくつかの材料はかなり疑わしいことが判明する。例えば、関税政策はアメリカの消費者にとってトータルではマイナスの効果をもたらすにもかかわらず、ドル高を促進し、アメリカ経済に過度の混乱をもたらす可能性は低いとの予測が多いことに不可解さを感じていた。

また、トランプ氏の側近の経済顧問の中には、他国の通貨を強くする必要性について公然と発言している者もいる。だからこそ、日本やドイツがアメリカの怒りをなだめるために自国通貨をドルに対して高め誘導することに合意した、かの有名な1985年の「プラザ合意」の現代版が推進されているのである。いわゆる「マール・ア・ラーゴ合意」が同様のものになると想定される。

次ページアメリカは「格別」
関連記事
トピックボードAD