傘寿を牢獄で迎えたアジアの元指導者2人/アウンサンスーチーとドゥテルテ/キャラは違えど、いまも国家の命運握る

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投獄中の身ながらいまなお母国の政治のキーマンとなっているアウンサンスーチー氏(左)とドゥテルテ氏(右)(写真:Bloomberg)

第2次世界大戦の終わった年に生まれ、政府のトップに上り詰めたアジアの元指導者2人が80歳の誕生日をいずれも牢獄で迎えた。

ミャンマーの国家顧問だったアウンサンスーチーとフィリピンの元大統領ロドリゴ・ドゥテルテ。権力の頂点に上り詰め、4年前までは東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で肩を並べていたが、跡を襲った政権からそれぞれ投獄された。対照的なキャラの2人だが、ともに檻の中に居てなお国家の命運を左右するキーパーソンであり続けている。

世界各地で2人の釈放を求める声

2025年6月19日、アウンサンスーチーは80回目の誕生日をミャンマー国内で迎えた。2021年2月の国軍によるクーデター後、拘束され、非公開の法廷で汚職や国家機密漏洩の罪など19件で計33年の刑期を言い渡された。後に恩赦で27年に減刑されたものの年齢を考えると終身刑に近い。収容先は首都ネピドー近郊の軍の施設などとされるが、確かなことはわかっていない。

英国在住の次男、キム・エアリスが誕生日のメッセージ動画をSNSで集める「スー80バースデーキャンペーン」を呼び掛けた。8万の投稿を目標としたが、世界中から10万を超える祝福の動画が寄せられた。国軍は国内から投稿した人を拘束したと報道されている。

ドゥテルテが80歳となった3月28日には、国際刑事裁判所(ICC)の施設からの釈放を求める集会が各地で催された。地元のフィリピン南部ミンダナオ島ダバオ市では群衆が主要な道路を埋め尽くしたほか、国内200カ所、収容先のオランダ・ハーグや欧米、東京をはじめとするアジアの都市、中東でもフィリピン人出稼ぎ労働者らによる集会やデモが行われた。

SNS上にはドゥテルテの帰国を求め、マルコス政権を批判する投稿があふれた。

ドゥテルテはダバオ市長時代から大統領の任期中にかけて違法薬物対策を推し進めた際、司法手続きを経ずに多くの容疑者らを殺害した「人道に対する罪」でICCから逮捕状が出され、フィリピン政府により誕生日の17日前に逮捕されオランダに移送されていた。

ミャンマー、フィリピン両国の世論の大勢は、政権の思惑とは異なり、かつての指導者の釈放を求めているといえる。

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