ドゥテルテ前大統領逮捕から1カ月、現職大統領の支持率低下、5月中旬の中間選挙を前に分断深まるフィリピン社会

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が2025年3月11日に「人道に対する罪」で逮捕され、マニラ国際空港からオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に移送されてから1カ月が経つ。
政府の対応をめぐり国論は割れ、偽情報があふれて社会は深く分断されている。敵対する陣営の総帥を葬り去ったことでボンボン・マルコス大統領派は政局上、有利な立場に立ったが、世論は前大統領に同情的だ。
世界各地で釈放を求める集会
2025年3月28日は前大統領の80回目の誕生日だった。地元である南部ミンダナオ島ダバオ市では誕生日祝いと釈放を求める集会が催され、群衆が主要な道路を埋め尽くした。
同市治安・安全対策局はダバオだけで33万人が参加したと発表した。ほかにもミンダナオ島や中部ビサヤ地方を中心に全国200カ所でも同様の集会が催された。
国家警察本部の報道官は、参加者は全国で計6万人と発表した。ダバオからのドローン映像を見るだけでも、警察本部は意図的に過小な数字を弾いたように見える。
ハーグをはじめ世界中の主要都市でもフィリピン人の出稼ぎ労働者らがドゥテルテ支持の集会を開いた。中東のカタールで釈放を求めるデモをした17人が違法活動として逮捕された。SNS上にはドゥテルテ氏の帰国を求め、政権を批判する声のほか、ドゥテルテ時代を振り返り、賛美する投稿があふれている。
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