反旗を翻した姉に頭を痛めるフィリピン大統領、ドゥテルテ逮捕でマルコス一家にも深い亀裂

フィリピンのドゥテルテ前大統領の逮捕を境にフィリピン社会の分断が深まる様子を前回報告(「前大統領逮捕から1カ月、分断深まるフィリピン」)したが、同時にマルコス大統領一家にも深い亀裂が生まれている。
大統領の姉のアイミー・マルコス上院議員が与党連合を離脱し、ドゥテルテ氏を国際刑事裁判所(ICC)に引き渡した弟の政権を追及する急先鋒に立っているのだ。父の故フェルディナンド・マルコス(シニア)元大統領の死後、家長となった姉弟の母、イメルダ夫人の加齢により一家の統率がきかなくなっている模様だ。
与党を離脱し、敵と組んだ姉
「黒」と題した30秒の選挙キャンペーン動画が評判を呼んでいる。
2025年5月12日投票の上院議員選挙で再選をめざすアイミー氏が、ドゥテルテ氏の長女サラ・ドゥテルテ副大統領と並んで黒い服を着て登場する。
サラ氏「今、この国の色は黒だ。人々は飢えと犯罪に苦しみ、喪に服している」
アイミー氏「食べ物だけではない。正義にも飢えている。与党連合に属さない者は弾圧される」。最後にサラ氏がアイミー氏への投票を呼び掛ける。
アイミー氏は2月11日に、マルコス家の地盤であるルソン島北部北イロコス州で催された選挙戦開始の集会には与党候補の一員として登壇した。
ところが3月11日に前大統領が香港から帰国したマニラ国際空港で逮捕されると、外交委員長を務める上院で逮捕の根拠やオランダ・ハーグのICC本部に移送した経緯について「憲法が無視され、主権が損なわれた」と政府高官らを厳しく追及し、3月26日に与党連合からの離脱を正式に宣言していた。
そのうえでマルコス陣営最大の敵であるサラ氏の推薦を受けて現政権と対峙し上院選を戦う意思を鮮明にしたのだ。
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