「続投宣言」はどこまで本気なのか? 石破首相に迫りくる2つの"辞め時"とその現実味

「政権選択選挙」といわれた今夏の参議院選挙を受けて開かれた臨時国会が5日間の会期を終え、8月5日に閉幕した。夏以降の政局の最大の焦点となる石破茂首相の進退については、事実上「8月末以降」に先送りされた格好だ。
自民党は8日に両院議員総会を開催するが、同党内では「7月28日の両院議員懇談会と同様の“ガス抜き”に終わる」(自民党幹部)との見方が優勢。同党党則のいわゆる「リコール規定」について、党事務局は「総裁の進退を決めることはできず、石破首相が続投を目指せば、それを阻止することはできない」との見解を示しているからだ。
そこで注目されるのが、「石破首相の続投宣言」の“本気度”である。参院選で自ら設定した「最低でも自公で50議席」という勝敗ラインを下回ったことで、与野党だけでなく国民の多くに「首相の引責辞任は当たり前」との声があふれている。にもかかわらず石破首相があえて「続投」の意思を繰り返す理由と背景をどう読み解くか、が重要となる。
首相「続投宣言」に交錯する2つの見方
「続投」の最大の理由は「トランプ関税をめぐる日米合意の完遂」とされる。石破首相は「日米交渉での国益最大化を追求、実現することが首相としての責務」としており、最終的にはドナルド・トランプ大統領との首脳会談での決着を目指す考えもにじませる。「それまでは辞められない」(官邸筋)というわけだ。
臨時国会閉幕翌日の6日、広島での平和記念式典に参列した石破首相は、式典後の記者会見で、参院選での敗北を受けた進退について「日米関税合意に伴う課題に適切、迅速、的確に対応する」としたうえで、「合意より実行に移すほうがはるかに難しい。不安に的確に応えていくことは極めて重要だ」と言及。「続投」への意欲をにじませた。
こうした石破首相の姿勢について、政界関係者の間では「石破首相は当面、開き直って政権運営を続けるが、絶対辞任しないというわけではなく、引き際を考えているはずだ」(閣僚経験者)との見方と、「最近の内閣支持率の上昇を踏まえて、自民党内の『石破降ろし』の動きが沈静化すれば、やれるところまでやるとの決意を固めた」という臆測が交錯している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら