「続投宣言」はどこまで本気なのか? 石破首相に迫りくる2つの"辞め時"とその現実味

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夏以降の政治日程を想定すると、石破首相の進退が厳しく問われるのは、8月最終週に予定されている自民党の「参院選敗北の検証・総括」と、それを踏まえた森山裕幹事長の進退をめぐる意思表示への対応だろう。

森山氏はすでに「検証結果を踏まえて自らの責任を明らかにする」としており、同氏周辺も「間違いなく幹事長辞任を表明する」(側近)との見方が支配的。これに対し、石破首相周辺には「幹事長が辞任を表明しても、首相はなお続投の意思を示す」(官邸筋)との見方もある。

だが、自民党内には「事実上の最高実力者とされる森山氏の辞任表明は、首相の退陣表明につながる」(長老)との声が多数派だ。併せて、「続投にこだわるなら、改めて両院議員総会を開いて、党則に基づいて総裁選前倒しを決議する」(麻生派幹部)との“強硬論”も浮上している。

政局は8月末が最大の分岐点となることは間違いなさそうだ。ただし、8月末を無事にやり過ごせば石破政権が安泰かというと、そういうわけでもない。伏線は、5日に閉幕した臨時国会にあった。

集中審議で繰り広げられた「意味深なやり取り」

先の臨時国会では、参院の正副議長人事など「院の構成」を決めたうえで、衆参両院の予算委員会で日米関税合意について集中審議を行った。「参院選後の短期国会では極めて異例」(衆院事務局)とされるこの集中審議は、石破首相が出席し、4日に衆院、5日に参院で実施された。

その中で多くの政界関係者が注目したのが、石破首相と立憲民主党・野田佳彦代表の「意味ありげなやり取り」(立憲民主党の若手議員)だった。

衆院集中審議で野党のトップバッターとして質問した野田代表は、通常国会で決着が持ち越しとなった企業・団体献金の取り扱いについて「われわれは企業・団体献金の禁止を訴えているが、比較第1党と第2党が真摯に協議し、結論を得て、他党に賛同を呼びかけることを、覚悟を決めてやらなければならない。実務者だけに任せず、私と石破総理大臣でひざを突き合わせて協議し、合意する作業をしたい」と呼びかけた。

これに対して石破首相は「どうすれば各党に不公平が生じず、政治がお金によって左右されないか、本質的な問題について党首同士で話し、各党に共有されるよう努力する。私のほうからもお願いしたい」と、トップ会談での合意形成に強い意欲を示した。

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