高市首相の「サナエノミクス」は有権者の最大要求を無視? 政策ブレを生む既得権益への傾倒とアベノミクスの残滓
少なくとも当面の間は、政治において人柄が大きな意味を持つものだ。それこそが高市早苗氏の初期の支持率に「ハネムーン期間」をもたらしている。しかし、人柄をもってしても、自由民主党(LDP)が有権者の要求や意見から乖離しているという事実は克服できない。
私は今年1月、ある自民党幹部に「衆議院で自民党が過半数を失ったことで、有権者はどのようなメッセージを送ったと思いますか」と尋ねた。
返答は衝撃的だった。彼は傲慢にも「メッセージなどなかった。有権者は単に選挙資金スキャンダルに苛立っていただけで、それもすぐに収まる。次の参議院選挙では勝利するだろう」と言い放ったのだ。
自民党の右派は依然として現実を認めず、党が過半数を失ったのは石破茂氏のせいだと主張し続けている。だが、それとは裏腹に、朝日新聞の世論調査では81%が自民党全体の問題のために党が敗北したと答えている。
高市氏もまた、有権者はアベノミクスを好意的に思い返していると自己暗示をかけているのかもしれないが、実のところ、2021年の時事通信の世論調査では、当時の岸田首相にアベノミクス継続を望む声はわずか15%だった。
サナエノミクスの非現実性
過去7年間で6年間は物価が賃金を上回り、有権者の73%が政府の最優先事項をインフレ対策とすることを望んでいる。にもかかわらず、高市首相は、インフレを抑制したり実質賃金を上げたりする計画を提示するのを拒否した唯一の自民党総裁候補だった。
それどころか、高市首相は日本銀行(BOJ)に「デフレが終わったと結論付けて(利上げという)警戒を緩めるのは時期尚早だ」と警告した。さらに、食料品やエネルギー価格を高騰させる主因となっている円安までも支持している。


















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