日本人の4分の3が「学歴フィルター」で不遇に? 日本を"活発な学力社会"に変える《人事制度改革》の処方箋

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合格発表
どこの大学に合格するか。それがその先の人生を大きく左右してしまうところに、日本社会が活力をうしなっている根本原因がある(写真:YsPhoto/PIXTA)
日本では、学歴が人々の活動可能性を制約する場合が多い。このため、受験競争が過熱化し、さまざまな問題を引き起こしている。とりわけ大きな問題は、学歴制約が日本社会の活力を奪っていることだ。これを克服するには、日本の大企業の雇用の仕組みが従来の新卒一括採用・年功序列を中心にしたものから脱却し、人材の企業間移動が活発化する必要がある――。野口悠紀雄氏による連載第159回。

日本社会を覆う“歪み”の正体

日本社会は学歴社会だ。学歴の有無が、そして学歴の内容が、人々の活動可能性を大きく制約する。能力があっても学歴がないというだけの理由で可能性が閉ざされてしまう場合が多い。

このため、多くの親たちが子どもにできるだけ高い学歴を与えようと、小学生の頃から塾に通わせ、受験勉強を強制する。その結果、塾の費用が家計の重荷となり、子どもの自由な時間が奪われる。

問題はそれだけではない。学歴社会で評価されるのは大学入学時点での能力だ。それ以降いくら勉強して能力を高めても、それが評価されない。入学時点で振り落とされたら挽回できない。だから、勉強は大学に入学した時点で終わってしまうことが多い。

つまり、実力でなく、学歴だけが評価される。このような歪みが日本社会を覆っている。

では、子どもに受験勉強を強いる親たちが目標としているのは、どのような人生コースだろうか。もちろん、それは人によってさまざまだろうが、多くの親たちの考えは「大学を卒業し、大企業に就職すること」だろう。

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