高卒との生涯賃金の差は5000万円超! それでも「無理をしてでも大卒が最善の選択」とは言いきれない衝撃のデータ

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高卒vs大卒
生涯賃金を考えれば、多少の無理をしてでも大学を卒業しないと……。現代日本では当たり前のように考えられがちだが、実際のデータに基づいて検証してみると、必ずしもそうとは言えなさそうだ(写真:ELUTAS/PIXTA)
高卒と大卒では年収に100万~150万円程度の差があるので、年間賃金を単純に積算した生涯賃金では約5000万円の差が生じる。ただし、大学進学にもコストがかかる。無利子の借り入れはできないことを考えると、生涯にわたる高卒と大卒の賃金額の差の現在値はより小さなものになる――。野口悠紀雄氏による連載第160回。

無理をしてでも大学に進学すべきか

日本は学歴社会だと一般的に考えられている。学歴によって生涯所得に大きな差があるからだ。

高卒と大卒では年間賃金に100万~150万円程度の差があり、そのために生涯で4000万~6000万円程度の差が生じると、しばしばいわれる。退職金や年金の差を考えれば、その差はもっと大きくなる。

このような認識に基づいて、学歴がないといくら実力があっても生涯にわたって安い賃金に甘んじざるをえない、とされる。学歴がなくても高い能力を持つ人は、それに応じて高い賃金を得られるべきだ。にもかかわらず、学歴によってこれほど大きな差が生じるのは不公平だ、というわけである。

また、大学進学のために費用がかかるといっても、上記の生涯賃金差である4000万~6000万円よりは少ないだろう。したがって、どんなに無理をしても大学に進学すべきだ、という指摘も見受けられる。

このような考えが正しいか否か、データによって確かめることができるのだろうか。そして、大学進学は経済的に見て割が合うものになっているのだろうか。実際に検証してみたい。

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