所得格差の拡大は、バブル崩壊以降の日本の大きな社会問題であった。高齢者比率上昇が大きな原因であったが、不本意ながら非正規職に就いた労働者への政策的対応を迫る問題も噴出した。直近2021年のデータでも、ジニ係数で測った所得格差は0.57と高い水準を保っている。
ところが最近の賃金格差の動向は所得格差とは大きく異なる。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、所定内給与(一般労働者)の分布の散らばりは縮小している。十分位分散係数という散らばりの指標は長らく0.6を超えていたが、2016年ごろから下がり始め、2023年には0.55にまで低下した。
経済格差の縮小
そこで所定内給与の分布の変化を調べたところ、高い給与水準の周辺では大きな変化はなかったが、低い給与水準の比率が大きく減り、少し高い給与を得る人が増えた。
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