最低賃金引き上げが「日本人の給与増」に必要な訳 恩恵受けるのは最低賃金で働く人だけではない

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(写真:genki/PIXTA)

自民党の石破茂首相は総裁選の際、2020年代中に最低賃金を1500円にするという公約を掲げた。同様の公約は他党も掲げており、最低賃金の引き上げは今の日本にとってホットトピックの1つだ。

1500円までに引き上げる必要がある

実際のところ、日本の最低賃金の着実な引き上げによって、実質(物価調整後)の最低賃金は1990年に比べて67%上昇している。これにより、何百万人もの労働者の生活も購買力も向上した。

同様に重要なのは、最低賃金の引き上げは、財界のロビイストたちが警告していたような雇用破壊にはならなかったことだ。それどころか、雇用主は人手不足にあえいでいる。

この功績は有益だが、それでもまだ十分ではない。現在の平均的な最低賃金(1054円)では、フルタイムで働いた場合でも年収は200万円を少し超える程度にとどまる。150万円以下であれば生活保護が受けられるレベルだ。

早い話が、日本は最低賃金を1500円まで引き上げる必要がある。だが、石破茂首相が約束したように、2020年代中にこれを実現できるかどうかは疑わしい。実現するには毎年7.3%引き上げなければならない。

それよりは、日本は2024年の恒常為替レートで1500円になるよう、インフレ調整後の賃金を3%ずつ引き上げるべきだろう。

さらに、すべての労働者の賃金を引き上げるには、最低賃金の引き上げだけでは不十分だ。フルタイム労働者全体の実質時給の中央値は、30年前の1993年と比べて上昇していない。2020年をベースとして比較すると、1993年の2153円に対し、2023年は2150円に過ぎない。

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