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〈芝浦電子TOB〉ミネベアミツミと台湾ヤゲオの価格引き上げ合戦、株主の「早期現金化の意思」が命運握る

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ミネベアミツミ
8月18日の会見ではミネベアミツミの貝沼由久会長CEOは「勝てる」と自信をみせていた(記者撮影)

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「どのタイミングでなら勝てるのかと考えたときに、今だと思った。これがすべてだ」

ミネベアミツミは8月15日、現在行っている芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)価格を1株5500円から6200円に引き上げた。同社の貝沼由久会長CEOは18日に都内で記者会見を開き、決断の理由をそう説明した。

芝浦電子をめぐってミネベアミツミは台湾の電子部品大手・国巨(ヤゲオ)と争奪戦を繰り広げている。芝浦電子に「同意なき買収」を仕掛けたヤゲオに、ミネベアミツミがホワイトナイトとして対抗している。今回引き上げた6200円はヤゲオの提示額と同じだった。

その後、ヤゲオはTOB価格を8月21日に6635円に変更。ミネベアミツミが同日夜に「これ以上の引き上げはしない」旨を明言したのを待って、土曜日の23日に7130円へもう一段引き上げる考えを表明した。

通常の価格競争であれば、これで勝敗は決したと言えるだろう。ただ、今回に限ってはまだ予断を許さない状況だ。そこには、TOB期間の延長を何度も繰り返すヤゲオ側の事情がある。

ヤゲオによるTOBは「延期に次ぐ延期」

芝浦電子は「サーミスタ」と呼ばれる温度センサーで世界シェア1位。自動車向けが主力だが、魚雷やミサイルなどの兵器にも転用できる。ゆえに日本政府から外為法の「コア業種」に属する事業を営んでいると指定されている。外資が株を取得するためには、外為法による承認が必須だ。

これが得られなければ、買収を撤回するほかない。ヤゲオは当初、「公開買い付けの末日までに手続きを完了できる見込み」として、5月9日にTOBを開始。この時点では審査の届け出すらしておらず、貝沼会長は「順番がおかしい。行儀が悪い」などと猛烈に批判していた(詳細はこちら)。

届け出は6月2日に提出されたが、審査の長期化に伴い、同19日を末日としたTOB期間を7月1日までに変更。その後も延長を繰り返し、今回の価格引き上げによって期日は9月8日とさらに延びた。延長は実に8回に及んでいる。

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