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ミネベアミツミvs.台湾ヤゲオのTOB合戦に“助太刀”するファンドの意義と懐事情、芝浦電子のTOB価格は当初の4300円から6200円へ高騰

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5月1日の会見では、ミネベアミツミの貝沼由久会長(写真中央)が芝浦電子の葛西晃社長(写真右)、APの笹沼泰助代表パートナー(写真左)に腕を回し、3者の結束の強さをアピールした(記者撮影)

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台湾の電子部品大手・国巨(ヤゲオ)による、芝浦電子への「同意なき買収」が過熱している。

5月8日、ヤゲオはTOB(公開買い付け)価格を1株5400円から6200円へ引き上げると発表した。9日からTOBを開始する。2月に4300円で表明していたが、ホワイトナイトとして総合部品メーカーのミネベアミツミが参戦。同社はTOB価格を4500円から5500円に変更し、5月2日からTOBを開始した矢先だった。

5月1日にミネベアミツミの貝沼由久会長CEOは都内で記者会見を開き「(TOB)価格引き上げを相談したところ、二つ返事で対応していただきました」と語った。

その“相談先”とは、共にTOBを仕掛ける投資ファンド、アドバンテッジパートナーズ(AP)だ。会見に同席した笹沼泰助・代表パートナーは「仮に今後、ヤゲオが価格を引き上げたとしても、当社はさらなる出資を積極的に検討する」と宣言。徹底抗戦の構えを示している。

芝浦電子は「サーミスタ」と呼ばれる温度センサーで世界シェア1位。「日の丸連合」は外資の札束攻勢にどう立ち向かうのか。勝負の鍵を握るAPの思惑とは。

ミネベアの負担は1株4900円まで

今回のTOBにAPが参画した背景には、ミネベアミツミ側の「財政規律」がある。貝沼会長は2009年に経営トップへ就任後、約30件のM&A(合併・買収)を手がけ、そのすべてを黒字化。上限額を直近の営業利益の10倍までと定め、次々と買収を成功させてきた(詳細はこちら)。

ただ、芝浦電子の営業利益は51億円(2023年度)にとどまる。ホワイトナイトに名乗りを上げたものの、買収の上限額を超過するのは必至。自己負担を少しでも減らそうと、APを仲間に引き入れた、というわけだ。

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