「日本の優れた技術を守るために闘う」。そう強調し、台湾の電子部品メーカー・国巨(ヤゲオ)による芝浦電子への“同意なき買収”に、ホワイトナイトとして参戦したミネベアミツミ。完全子会社化を目指し、1株5500円で5月2日にTOB (株式公開買い付け)を始めた。
これに対しヤゲオは5月9日、従来の1株5400円から6200円へと価格を吊り上げてTOBを強行した。争奪戦の様相が強まる中、ミネベアミツミの貝沼由久会長CEOが語ったこととは。
非常にびっくりした
――ヤゲオはTOB価格を6200円へと引き上げてきました。どう受け止めていますか。
ヤゲオはデューデリジェンス(価値やリスクの調査)をしていない。これだけの値段をつけたことに対し、率直に言って非常にびっくりした。彼らも上場企業でしょう。台湾には善管注意義務(善良な管理者の注意義務)が存在しないのか。
6000円ぐらいまでの引き上げはありうるだろう、とは見ていた。今、台湾ドルが非常に強くなっている。ヤゲオは日本円ではなく、その基準で考えているのかもしれない。(価格の根拠は)私にはちょっとわからない。
私が言っておきたいのは、ヤゲオは外為法の許可を得ていないどころか、TOBを始めるまでに申請すらしていない。そんな状況下で値段だけを引き上げると言っている。これは公正な株式市場をゆがめているのではないか。
そう語ると、貝沼会長はヤゲオの公開買い付け届出書(全51ページ)の一部コピーを記者へと手渡してきた。
その32ページには、①外為法による日本政府側への届け出を5月9日時点で実施していない ②準備ができ次第速やかに届け出るが、待機期間は5カ月まで延長される可能性がある ③審査の結果次第ではTOBの撤回もありうる――などと記されている。
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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa
1994年生まれ、石川県七尾市出身。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、2017年に共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを担当した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。部品や工作機械、物流の各業界や障害者雇用を取材。著書に『いじめの聖域』(2022年文藝春秋刊)=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞など3賞。
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