
まだ今年も上半期を過ぎたところなので、この話題はさすがに時期尚早だと思うのだが、年末恒例の「今年の漢字」は、非常に高い確率で「米」(コメ)ということになるだろう。コメ価格の高騰に備蓄米放出、そして「米」国の関税問題まで、今年は「米」に明け暮れた1年ということになりそうだ。
立派な「流行語大賞候補」だが罪深い「TACOトレード」
さらに年末恒例の「新語・流行語大賞」を考えた場合、マーケット関連では「TACOトレード」が有力候補となるだろう。すなわち”Trump Always Chickens Out”(トランプ氏はいつも最後は逃げる)の略である。
ドナルド・トランプ大統領は強気なことを言うけれども、いつも最後は日和って中途半端になるじゃないか。だから、関税引き上げもFRB(連邦準備制度理事会)議長の更迭も気にすることはない。逆に共和党政権下で減税や規制緩和は確実に進むだろうから、やっぱり株は買えるぜ!イェイ!というのが「TACOトレード」である。
ちなみに日本語で「タコ」には間の抜けた印象があり、悪口表現に使われることもしばしばであるが、英語の「TACO」にもメキシコ料理の「タコス」にかこつけて、間の抜けたニュアンスがあるらしい。もちろんトランプ氏は、「TACO」と呼ばれることを蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っているとのこと。
ただしこの「TACOトレード」、あらためて考えてみればまことに罪深い。トランプ大統領が4月2日に相互関税を発表したとき、マーケットは拒絶反応を示した。アメリカの株価は暴落、ドルも下落、さらには米国債まで売られてトリプル安となり、いわば「アメリカ売り」の様相を呈した。
いよいよ国別上乗せ税率が施行される4月9日の当日になって、「こりゃマズイ!」と判断したスコット・ベッセント財務長官とハワード・ラトニック商務長官は、ホワイトハウスに駆け込んでトランプ大統領に直訴した。それで「国別上乗せ税率」の施行が90日間延期になったわけである。
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