「12日間戦争」「ひとつの大きな美しい予算」…あまりに絶妙すぎる「トランプ大統領ネーミング術」の謎を解く

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独立記念日を前に、アイオワ州で演説するトランプ大統領。「絶妙すぎるネーミング」の裏に隠れている意味とは?(写真:ブルームバーグ)

かねがね、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ネーミングの天才ではないかと思っている。

あまりに絶妙な「12日間戦争」のネーミングセンス

先月22日には、イランの核関連施設にバンカーバスターを投下して、世界をあっと驚かせた。とりあえずトランプ大統領のことを、もう二度とTACO(Trump Always Chickens Out.=トランプはいつも最後にビビって日和る)とは呼べなくなってしまった。

しかもイランに一撃食らわせた直後に、イスラエルも併せて「さあ、停戦だ」と呼びかけた。2日後に停戦にこぎつけると、これを「12日間戦争」と命名した。イスラエルがイランを攻撃した6月13日から、停戦が発表された6月24日まで、確かにちょうど12日間である。ズルいというか上手いというか、とにかくこのネーミングセンスは絶妙である。

「12日間戦争」というからには、「この戦争はもうお終い」である。イランに対しては「もう反撃するんじゃないぞ」と脅しをかけ、イスラエルに対しては「これ以上の手出しは無用だからな」と釘を刺している。いや、中東は恐ろしいところなので、いつ何時、ふたたび戦火が始まっても不思議はないのですけどね。

そしてアメリカ国内向けには、今回の米軍によるイラン攻撃が「長期化を避けて成功した軍事作戦」という印象を与えようとしている。もともとトランプ支持のMAGA派の人々は、中東への軍事介入には否定的であったから、ここはうまく取り繕う必要がある。

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