「またトラ」リスクは「トランプ四季報」で準備せよ 政治日程を考えれば「次のリスク」が見えてくる

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2017年3月、温暖化規制見直しの大統領令に署名するトランプ大統領(当時)。「2期目のリスク」はどう管理すればいいのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

長らくアメリカの「4年に1度」のサイクルを見てきた経験から言うと、大統領選挙に当選した候補者は11月第4木曜日の感謝祭、今年の場合は11月28日の直前に、閣僚人事をまとめて公表することが多い。

つまり候補者は長い選挙戦で疲れていて、「感謝祭くらい休ませてくれよ」という気分になっている。あのバラク・オバマさんは、当選後の感謝祭にはハワイに帰ってしまい、サンダル履きになってそこでようやく本来の自分を取り戻したのだそうである。

8年前と比べ格段に手際がいいトランプ次期大統領

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています【2024年1月5日編集部追記】2024年1月1日、山崎元さんは逝去されました。心から哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈りします)。記事の一覧はこちら

ところがドナルド・トランプさんには、そんな感じはまったく見られない。当選の翌週から意欲的に新政権人事を公表しており、ほとんど疲れていないんじゃないだろうか。政権移行プロセスを1度経験済みだけあって、8年前に比べると格段に手際がいいのである。

国務長官にマルコ・ルビオ上院議員、国家安全保障担当補佐官にマイケル・ウォルツ下院議員といった人事は、ほぼ下馬評の範囲内であり、評判もそんなに悪くない。

しかるに国防長官にテレビキャスターのピート・ヘグセス氏(ええっ?)、国家情報長官に陰謀論者のトゥルシー・ギャバード氏(マジっすか?)、司法長官にスキャンダルまみれのマット・ゲーツ前下院議員(信じられん!)、そして厚生長官に「ワクチン懐疑派」のロバート・ケネディ・ジュニア氏(あっ、ありえない~!)と、物議を醸す人事も入っている(その後、ゲーツ氏は指名辞退を宣言)。

閣僚人事には上院における承認手続きが必要であり、上院は53対47で共和党が多数を握ることになった。とはいえ、身内から4人の反対者が出れば人事は通らなくなる。

こうなるとミッチ・マコーネル氏に代わり、新しい上院院内総務に選出されたジョン・スーン氏としても悩ましいところだ。トランプ次期政権をお手伝いすべきか、それとも上院としての筋を通すべきか。おそらく、年明けから早々に共和党内でバトルが生じるのではないだろうか。つくづく「トランプ劇場」は健在なのである。

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