
8月1日、相互関税の国別上乗せ分が復活するという締め切り直前になって、「米韓関税交渉が妥結」との報が飛び込んできた。EUも7月28日のアメリカとEUの首脳会談で合意に達しているが、いずれも7月23日の日米合意を「ひな形」とした形である。
大きかった「日本・赤澤チーム」の「値切り」
これで日本と韓国とEUという対米黒字国・地域が「相互関税15%、自動車関税15%」で足並みをそろえることとなった。終わってみれば、「最初に高く吹っ掛けて、揺さぶりをかけたうえで最後は現実的な線に落とす」というトランプ流交渉術にしてやられた感もある。それでも、「この程度で済んでホッとした」というのが大方の受け止めであろう。
一連の経緯を振り返ってみると、とにかく最初の日米合意が貢献度大であった。「石破首相辞任?参院選後の対米交渉は誰が担うのか」(7月19日配信)で、筆者は「自動車関税の引き下げはハードルが高い」ことを心配していたのだが、赤澤チームは当初の25%を15%に値切ることに成功した。
これは大きな成果というべきで、自動車会社本体は25%の関税でもなんとかやっていけるだろう。ただし自動車産業はすそ野が広い。サプライヤーの中でも「Tier1」「Tier2」「Tier3」と階層が下がるにつれて、会社の規模や体力は小さくなる。今回、「自動車部品も15%」になったことは、小さくない収穫であったと受け止めるべきだろう。
仮に、日本チームが分野別関税の交渉を最初からあきらめていたら、EUや韓国の自動車関税も25%のままとなっていたはずである。
面白いのは、アメリカの自動車会社が「これでは北米製よりも日本車のほうが有利になってしまう」と文句を言っていることだ。ただしドナルド・トランプ大統領の耳に、そんな声は届かないだろう。「お前らがそんなことを言うなら、製造拠点をちゃんとアメリカ国内に戻せ!」と言われて終わりである。大事なのは、誰が雇用を生み出しているか、なのである。
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