2020年初頭から世界を襲ったコロナ禍(パンデミック)は、グローバルなサプライチェーンの混乱、各国・地域の経済活動の制限、そして地政学リスクの再認識をもたらした。この未曾有の危機を経て、日本企業は海外事業ポートフォリオの抜本的な見直しを迫られてきた。
本記事では、このコロナ禍直前の2019年末時点と、コロナ禍明けの24年末時点のデータに基づき、日本の現地法人数が絶対数として減少した国・地域を調査するため、東洋経済新報社「海外進出企業データ2025年版(24年12月時点)」と「海外進出企業データ2020年版(19年12月時点)」を活用し、その減少数によるランキングTOP10を分析する。
減少数の大部分を占めるアジア主要地域
現地法人数の絶対的な減少で1位となったのは中国である。19年末の6963社から24年末には6885社へと、マイナス78社の減少を記録した。
次いで2位に入ったのは香港(中国)でマイナス73社の減少となった。中国本土と香港の合計で151社減少しており、アジア主要地域が1・2位を占める結果となっている。
日本企業の事業再編の動きはアジア主要地域で起きており、ランキングの1・2位を占める結果となった。
3位のロシアは、マイナス40社の減少となった。ロシアによるウクライナ侵攻など、20年から25年の間に発生した地政学的な要因や国際関係の変化が、現地法人の大幅な縮小に直結した可能性が高い。
また、南米のブラジルがマイナス38社減(4位)となり、主要な新興国市場でも現地法人数の減少が確認された。
5位のオランダはマイナス15社、6位のパナマはマイナス12社と、欧州や中南米のハブ拠点でも減少が見られる 。
減少数7位のベネズエラ(マイナス8社)、8位のグアム(米)(マイナス7社)は絶対数は小さいものの、現地法人の総数に対する減少率が高く(ベネズエラはマイナス40.00%、グアムはマイナス21.88%)、進出縮小の動きが見られた。
次のページからは、「日本の現地法人数が減った国ランキング」と「日本の現地法人数が多い国ランキング」を紹介する。



















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