今回は、私事に関するご報告から。今月(10月)末で筆者は株式会社双日総合研究所を定年退職し、来月以降は独立して自分の会社(株式会社溜池通信)を足場に、エコノミスト稼業を続けていくことにした。
2012年にこの連載を一緒に始めた山崎元氏、山口正洋氏(ぐっちーさん)は、いずれも同年代ながら早世されてしまったが、自分は幸いにも65歳を超えて仕事を続けている。この連載も小幡績先生(慶応義塾大学・大学院教授)とご一緒に続けていくので、引き続きよろしくお付き合い願いたい。あまり当たらない競馬の予想も、手を抜かずに続けて参る所存である。
もしヒラリー・クリントン氏があの大統領選に勝っていたら……
そんな人生の転機に当たり、ふとこんなことを考えてしまうのだ。
「2016年、皆の予想どおりにヒラリー・クリントン氏がアメリカの大統領になっていたら、俺の仕事など今の半減以下になっていただろうなあ」
今年になってから当欄で書いてきた記事も、トランプ政権に関するもの、特に「トランプ関税」や日米交渉の行方、さまざまな地政学リスク、加えて国内政局、それらがマーケットに与える影響などがほとんどだ。そういう意味では、筆者に仕事が来るのは「トランプさまさま」ということになる。それくらいこの世の中には、「トランプがらみ」の不確実性、不透明性が強いということであろう。
この歴史上の「イフ」を少しだけ深掘りしてみたい。仮に2016年にドナルド・トランプ氏ではなく(あのときの大半の予想どおり――もちろん筆者も含む)、ヒラリー・クリントン氏が勝っていた場合、果たしてどんなことになっていたのだろうか。以下の3つが少なくとも挙げられるだろう。


















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