高市氏の属性で、もうひとつの注目点は「関西人」であることだろう。奈良県出身では初の首相となるが、戦後の首相で関西出身者はきわめて少ない。彼女は5人目であり、実に36年ぶりの関西人首相となる。
過去の4人がいずれも短命政権であるのが気になるところだが、高市氏にはいかにも関西特有の「やんちゃな気風」があったからこそ、日本維新の会との連立合意が可能になったのではなかったか。
公明党の連立離脱で一時はどうなることかと思われたが、過去の常識にとらわれずにトップ同士の交渉で一気に合意に持ち込んだ。ほかの人物が自民党総裁だった場合、維新側があそこまで「乗り気」になったかどうかは怪しいところである。
念のために申し上げておきたいが、関西人政治家の中には「当然、首相の印綬を帯びるべき」と思われていながら、悲運に泣いた前尾繁三郎氏や谷垣禎一氏がいる。特に京都府は名バイプレイヤーの宝庫であり、伊吹文明氏や野中広務氏の顔がすぐに思い浮かぶ。なにせ戦前には、岩倉具視や西園寺公望、近衛文麿などの総理を輩出した地でありますから。
高市首相=「楕円の理論」+「女性」+「関西人」
前回の拙稿でも述べた通り、自民党が高市氏を新総裁に選出したメカニズムは「楕円の理論」である。すなわち「左でダメなら右で行け」という手法で、過去70年間の日本政治史においてはこれがまあまあ、うまく機能してきた。政権をキャッチボールしながら、内紛があってもギリギリのところで党が割れない、ということを繰り返してきた。
2025年の自民党の選択は、この「楕円の理論」に加えて、「男でダメだから女で行け」「これまであまり試したことのない関西人を試してみる」という2点が加わった。とりあえず、目先を変えてみるのはいいことだ。もちろん成功の保証はないけれども、出だしは好調のようである。
最大の注目点は、来週27日にも訪日するトランプ大統領との「ファーストコンタクト」の成否であろう。それだけで内閣支持率も株価も、大きく揺れ動くはずである。それについては、また稿を改めて語ることにしたい(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。



















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