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1ドル150円に向かう<円安>と金利上昇の「高市トレード」、拡張財政&金融緩和のリフレモードに立ちはだかる現実とは?

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いずれTACO (Takaichi Always Chikens Out)トレードがくる?(写真:Yuichi Yamazaki - Pool/Getty Images)

10月4日に実施された自民党総裁選は、決選投票において高市早苗氏が小泉進次郎氏を破り、初めて自民党に女性総裁が誕生する運びとなった。もちろん、首班指名で選ばれれば初の女性首相である。

高市氏のリフレ思想を期待する向きからアジア時間6日朝から円売りは加速している。対ユーロでは1ユーロ=175円台半ばまで円安が進み、史上最安値を更新した。対ドルでは1ドル=150円手前で推移している。

物価高対策に苦慮する自民党が最もリフレ思想の強そうな候補者を選出したことは皮肉だが、昨今の国政選挙では物価高対策として拡張財政(給付や減税など)という矛盾する政策が平然と持ち出され、しかもそれが支持されてきた経緯がある。その点でおおむね民意を反映した指導者が選ばれたということなのかもしれない。

後述するように高市氏がどれほどリフレ政策に傾倒するのか現時点では定かではないが、金融市場が円売り・円金利上昇で応えるのは当然である。

「拡張財政路線」で野党連携には障害なし

筆者は総裁選最中から、誰が次期首相になろうと以下の3つの論点は変わりようがない事実を強調してきた。

①少数与党である
②日本は労働供給制約がある
③労働供給制約ゆえに財政・金融政策の緩和余地が小さい

目下、①がどう転ぶかが注目されている。少数与党ゆえ、野党からの拡張財政要求を飲まざるをえないという状況は誰が指導者になろうと回避が難しいだろう。

しかし、そもそも高市氏自身が拡張財政に前向きな政治家ゆえ、野党連携においてこの点は障害になりにくい。だからこそ野放図な拡張財政路線への傾倒が懸念され、円金利上昇と円安が併存しているわけである。

よって、「連立相手がどの政党になるのか」は政局上、重要論点になるとしても、金融市場においてはさほど重要ではないように思われる。

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