4万5000円のフシ目をつけてから、わずか39日。あまりにも速い急騰劇だった。
日経平均株価は10月27日、終値が初めて5万円の大台に乗った。前週のアメリカ市場で貿易をめぐる米中対立の懸念が後退し、ダウ平均株価が最高値を更新したところに、高市早苗氏が日本初の女性首相として就任。発足した政権は高い支持率を得て、ご祝儀ムードが市場の追い風となった。
高市氏が10月4日に自民党総裁に選出されると、「拡張財政・金融緩和路線」とみた市場では、株高・円安・債券安(金利上昇)の「高市トレード」が進行。日経平均は5万円に迫る勢いで上昇した。
公明党の連立離脱でいったん巻き戻したが、自民党は各党との協議を経て、日本維新の会と政策合意。維新は財政拡張に積極的ではないとして自維連立政権のバランスが市場で好感され、債券が下げ止まる反面、株高が進んだ。
4万5000円時点からの225銘柄上昇率上位には、ソフトバンクグループをはじめとするおなじみの値がさ株に加え、防衛銘柄、AI・データセンター関連銘柄が顔をそろえた。(上昇率10%以上の51銘柄ランキングを記事末尾に掲載)

上昇率トップの安川電機は10月3日の中間決算発表の際、2026年2月通期の業績予想を上方修正。トランプ関税の影響を見込んで7月に下方修正した予想数字を一部戻した。ロボットをAIで制御する「フィジカルAI」関連銘柄としても注目される。
「アベノミクスの再来」なのか?
高市政権下で、2013年以降のアベノミクス相場の再来を期待する声もある。高市氏は、保守的な政治スタンスと経済政策の双方で安倍晋三氏を継承する姿勢を示してきたからだ。
しかし、「環境が違うから中身も違う」――そう評するのは、みずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫エグゼクティブエコノミストだ。日銀理事として安倍政権に対峙した。
安倍氏は円高・デフレを克服するとして大胆な金融緩和策をアベノミクスの柱とした。
しかし現在、高市政権は円安・インフレという反転した状況に直面する。消費者物価の前年比(総合)は日銀が目標とする2%を3年半にわたって超えている。賃金の伸びは物価に追いつかず、物価を加味した実質賃金はマイナスが続く。



















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