高市氏は10月24日の所信表明演説で「責任ある積極財政」を掲げた。これは「『インフレを前提としていない財政』の修正を優先課題として位置づけたものだ」と門間氏はみる。
税収はインフレを受けた上振れで「インフレ税」の様相を呈している。一方でプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化目標の下、支出は抑制されたままでインフレが十分に反映されていない。とりわけ医療・介護を直撃している。
インフレで圧迫された現状への不満が、選挙での与党劣勢や新興政党の隆盛の背景に漂う。それゆえインフレ対策は高市政権が支持を保つうえで喫緊の課題だ。
ガソリン税の暫定税率廃止や医療・介護施設への補助金、物価連動での税の基礎控除引き上げ、インフレによる自然増税を防ぐ仕組みの導入が対策となる。税の取りすぎを防ぐとともに、取りすぎた税収はインフレを反映できていない分野や生活支援に充てる。
高市氏は、減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の制度設計に着手するとも述べたが、実現には時間がかかりそうだ。
すでに十分通じ合っている政府と日銀
アベノミクスが軸足を置いた金融政策にはどう臨むのか。高市氏は「日銀が政府と十分に連携を密にして意思疎通を図っていくのが何より大事だ」と発言。市場では日銀の利上げを牽制したものと受け止められた。
だが、「意思疎通するまでもなく考えは同じ」と門間氏は指摘する。日銀の植田和男総裁も利上げに極めて慎重だからだ。



















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