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「高市首相が進むべき道は"小泉構造改革2.0"だ」「日本維新の会が求める改革をテコにして、自民党自身が変わるきっかけをつかむことになる」

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冨山 和彦(とやま・かずひこ)/日本共創プラットフォーム(JPiX)会長。1960年生まれ。経営コンサルタント。東京大学卒業。在学中に司法試験合格。スタンフォード大学でMBA取得。産業再生機構COOを経て、2007年に経営共創基盤(IGPI)、20年JPiXを設立(撮影:今井康一)
「自公連立」という長年の与党の構図が崩れ、「自維連立」という新しい枠組みへとシフトした。政治が流動化する中、高市新政権が取り組むべき経済政策とは何か。数々の企業再生を手がけ、日本経済の構造問題に精通する日本共創プラットフォーム(JPiX)会長の冨山和彦氏に、新政権が断行すべき経済政策の要諦を聞いた。

生産性向上こそが唯一の答え

ーー高市政権が進めるべき経済政策とは。

少子高齢化が進む中で持続的な経済成長を進めるための答えは一つで、労働生産性の向上を進めるしかない。経済は循環であり、今の日本は労働力の供給制約と賃金の低迷による消費不振が循環の隘路になっている。これを太くするには、労働生産性を上げて労働供給力と賃金水準を持続的に押し上げる以外に道はない。

1968年2月、日本生産性本部のトップ・マネジメントセミナーでコンピューター投資の重要性を説く松下幸之助氏(写真:東洋経済写真部)

高市新首相は松下政経塾出身。無税国家論の松下幸之助さんは「生産性倍増運動」で知られる経営者だ。高市さんも生産性向上の重要性をよくわかっているだろう。

農業や医療をはじめ、今の日本にはむしろ生産性、供給力を下げる方向へのインセンティブ構造が強く残り、そこに自民党の旧来の利権構造が結びついていた。これが根深い問題だった。

ーー自民党を支えているのは中小企業経営者や団体役員ですね。

だから、自民党は企業団体献金を止めることができない。例えば、最低賃金を引き上げようとすると、「中小企業が潰れてけしからん」という反対が必ず自民党内から出てくる。これは、自民党の政治が、そこで働く大多数の国民よりも、少数の中小企業経営者のほうを向いてしまっていることの証左だ。いわばB2Bの政党だ。

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