〈急落再び〉安川電機の「株価10%下落」原因はアメリカ関税政策を業績予想に反映したことだけ?

製造現場に欠かせないサーボモーターや産業用ロボットが世界で指折りのシェアを誇る安川電機。その株価が週明けの7月7日、前営業日比で10%安と急落した。
原因は7月4日の第1四半期(3~5月期)決算の発表と併せて、2026年2月期通期の連結業績予想を下方修正したことにある。株価の下落幅は4月7日の20%安に次ぐ今年2番目の大きさとなった。
従来は通期営業利益が600億円(前期比19.6%増)の増益予想だった。それを430億円(同14.3%減)の減益予想へ大幅に引き下げた。アメリカと各国の関税交渉の長期化や高関税の導入に伴い、今後想定しうる顧客の設備投資の延期や縮小、キャンセルなどのリスクを見込んだことにある。
通期予想を示した4月4日時点では、「影響を精査中」(小川昌寛社長)として最大の懸念材料であるアメリカ関税政策の影響を織り込んでいなかった。
「自動車関連の顧客を中心に、アメリカ向け輸出に関する投資に対して慎重になっている。関税そのものよりも、政策の方針が定まらないことが、正直いちばんきつい」。米国安川に駐在する原英則執行役員はそうこぼす。
直接的なコスト増は価格転嫁で吸収へ
今回の業績見通しには、先行き不透明感を反映し、売上高で350億円、営業利益で170億円のマイナス要因を織り込んだ。関税による直接的なコスト増は、通期で65億円と試算する。
そのうち約50億円はアメリカの現地法人が日本から製品を輸入する時に発生するとの想定だ。7月9日以降の税率は24%を前提とした。
ただ、顧客への価格転嫁を進めることで、関税に伴うコスト増はほぼ吸収できると安川電機は説明する。また、「値上げを理由にしたキャンセルは現時点で見受けられない。(顧客企業で)工場建設の延期や先送りは目立つものの、受注は一定の水準を維持している」(原執行役員)という。
競合他社も軒並み価格転嫁の方針を発表していることから、値上げによる競争環境の変化は生じないとする。
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