ファナックを襲った「トランプ関税」の衝撃→米中向け売り上げ比率5割で影響大、6月には稲葉会長が退任し“脱・創業家”で迎える試練

世界経済を揺るがす難局に“優等生企業”はどう立ち向かうのか。
ファナックは4月23日、2025年3月期決算を発表した。連結売上高は7971億円(前年比0.2%増)、営業利益は1588億円(同11.9%増)となり、会社計画の営業利益1523億円からやや上振れて着地した。
来期業績を占う上で重要な指標となる2024年11月〜2025年3月期の受注高は、前年同期比21.9%増の2114億円となった。中国やアジアにおける受注増が追い風で、足元は市況回復の兆しが見え始めている。
一方で、来2026年3月期の業績予想については「合理的な算定が困難」として開示を見送った。
トランプ関税が直撃
ファナックの山口賢治社長は決算説明会で「様々なパターンを想定して検討したが、前提条件によってばらつきが大きく、確からしいか自信を持って言えない」と不透明な外部環境について説明した。
とりわけ大きな不確定要素となっているのが、アメリカの関税政策だ。トランプ政権は貿易相手国に対して相互関税を課すと発表。日本製品には一律24%、中国製品については大幅に関税率が引き上げられる見込みとなっている。
ファナックは中国と米州の2市場が売上高の半分を占め、主要製品の大半は日本での生産に依存している。関税の直撃を免れない構造にあるのだ。
「関税の動向が読めない中、顧客が投資を様子見することが予想され、短期的には受注が先延ばし、あるいは減少が生じる可能性がある」(山口社長)
ファナックにとってアメリカは重要市場。2019年以降、現地への投資を積極的に進めてきたこともあり、米州全体では売上高の約4分の1を占める。2024年には約160億円を投じて、ミシガン州に営業サービス拠点を新設したばかりだ。
この記事は有料会員限定です。
(残り 2000文字 です)
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら