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〈試練のAGC〉急浮上したトランプ関税4つのリスク、「4期連続の下方修正」を回避できるか

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AGC平井社長
今年2月の時点でトランプ関税については「影響度があまり大きくならないようにすることが大事だ」と述べていたAGCの平井社長(写真:つのだよしお/アフロ)

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〝素材の会社〟AGC。老舗の名門企業が旭硝子から現社名に改めたのは、もう7年近く前のことになる。「脱ガラス」で多角化を進めてきたはずだが、レジリエンス(逆境やリスクに対応する力)を発揮できていない。

営業利益や最終損益は2022年12月期以降、3期連続で期初計画から下振れて着地している。2024年12月期に至っては530億円の最終黒字を計画していたところ、過去最悪となる940億円の最終赤字に終わった。

背景にあるのは、中国の建築需要の低迷やアメリカの金利上昇によるマネーフローの変調など。不確実性の高い世界経済の波に翻弄され続けている。そして今2025年12月期は、「トランプ関税」を起因とする4つのリスクが急浮上している。

ガラス関連の主力分野は自動車向け

わかりやすい形でトランプ関税の影響が懸念されるのは、祖業のガラス関連だ。ガラス製品の主力分野の一つが、フロントガラスやサイドガラス、車載ディスプレー用カバーガラスなどの自動車向けとなっている。

今年2月に期初計画を発表した時点では、今期の出荷量を「前期並み」と想定。一方で価格政策(コスト高の反映も含めて採算性を確保できるだけの値上げを求めること)の推進などにより、セグメント利益は前期の139億円から220億円へと引き上げる計画を示している。

周知のように、アメリカのトランプ政権は4月に相互関税を発動した。中国を除く大半の国に対しては原則的に7月9日まで適用を一部停止し、相互関税は国・地域ごとに設定する上乗せ分を除く最低税率の一律10%にとどめる。

一方、相互関税に先立ち25%の追加関税を発動した自動車は一律10%の対象には入らない。日本からの輸出の場合、従来の2.5%に上乗せ計27.5%の関税をかける。これにより客先の自動車メーカーの生産台数が減少した場合は当然、AGCの出荷量に直結する。

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