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もし撤回されても成長は戻らない…「トランプ関税」が招いた不確実性の決定的ダメージとは。日本はゼロ成長でアメリカ最大、世界にデフレ圧力

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「アメリカを取り戻す」はずが最もダメージ大(写真:Bloomberg)

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本記事は4月26日7:00まで無料会員は全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

1月の就任後、アメリカのトランプ大統領は矢継ぎ早に関税を打ち出した。特に、一連の追加措置を受けて対中関税は累計150%程度と、信じがたい数値となった。

4月2日に公表された各国への相互関税は90日間停止されたものの、それでも10%の基本関税、自動車等へのより高率な品目別課税、中国・メキシコ・カナダへの別途の課税により、アメリカの実効関税率は20%を上回る水準となる。

これは、世界的な関税戦争を引き起こしたスムート・ホーリー法下の1930年代以来、約100年ぶりの高水準であり、世界経済に大きな影響をもたらすことは必至である。

不確実性が高まり、設備投資を手控える

今回のトランプ関税は、世界経済にさまざまな経路で影響すると考えられる。

まず、関税引き上げを受け、アメリカの消費者物価が上昇、家計の実質所得が低下し、個人消費が下押しされる経路が挙げられる。同様に、資本財価格も上昇するため、企業は設備投資を絞ることになる。

こうしたアメリカの需要鈍化は、グローバルなサプライチェーンを通じて世界貿易を押し下げ、他の地域の輸出を直接・間接に下押しする。

加えて、関税がディールの材料とされているなかで、関税の行方が見通せない状況が継続することが、貿易政策の不確実性を世界的に引き上げ、広い範囲で企業のコンフィデンス(信頼感)を損なう効果を持つ。こうしたなか、今後、世界的に企業が設備投資を手控える動きが顕著となる可能性が高い。

さらに、金融・コモディティ市場を通じた波及もある。

関税の公表を受け、株価は世界的に下落した。株安は企業の設備投資を抑制するほか、負の資産効果を通じて、消費にもマイナスにはたらく。

一方で、数少ないプラス材料として、コモディティ価格、特に資源価格の下落は、日本のような資源輸入国の景気を下支えする。

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