
アメリカ大統領ドナルド・トランプの高関税によってiPhoneの価格が急騰するおそれに直面すると、アップルの最高経営責任者(CEO)ティム・クックはホワイトハウスに連絡をとり、アップルと幅広いエレクトロニクス業界に対する猶予措置を早期に確保した。
トランプの側近たちはすぐさま、経済の全域にわたって輸入関税を適用するという公約から逸脱しているわけではない、たとえ例外があったとしても最小限しか認めない、と主張した。それにもかかわらず、アメリカ中の多くの企業はこの例外措置に注目。グローバル貿易戦争に苦悶する中で同様の支援を求める新たな競争に火が付いた。
「取引の窓は開かれている可能性がある」
農業、建設、製造、小売り、テクノロジー業界の主要ロビー団体はこのところ、関税の緩和を拡大するようホワイトハウスに陳情を繰り返している。アメリカ国内で生産したのでは高くなりすぎる、もしくは現実的でないため輸入が欠かせない製品が存在すると主張するものが多い。
4月21日にはホーム・デポ、ターゲット、ウォルマートといった小売企業の経営幹部がトランプに直接懸念を伝えた。小売業界は、高額の輸入関税が消費者価格の上昇につながる可能性に身構えている。
「トランプ大統領および小売業界の同業者たちと貿易の今後について話し合う生産的な会合を持つことができた。アメリカの消費者に価値を提供するという当社の約束は揺るがない」と、ターゲットの広報担当者は声明で述べた。
ウォルマートCEOのダグ・マクミロンは以前から、トランプの関税と小売価格には多くの「変数」があることを認めている。ウォルマートの広報担当者は21日に会合が行われたことを認め、対話は「生産的」だったと声明の中で述べた。ほかの企業はコメントの求めに応じなかった。
「ディール(取引)の窓は開かれている可能性がある」。全米小売業協会の政府関係担当バイスプレジデントのデビッド・フレンチは先日のインタビューでそう発言。「消費者は価格上昇がやってくると懸念し、激しく動揺している」ということを訴えるために、小売業界はトランプとそのチームに謁見を求めていると述べていた。