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〈関税ショック〉トランプに通じなかったビッグテックのゴマすり。こびた見返りは“ほとんどなし”

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右からグーグルCEOのスンダー・ピチャイ、アマゾン会長のジェフ・ベゾスと婚約者、メタCEOのマーク・ザッカーバーグ(写真:Kenny Holston/The New York Times)

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巨大テック企業とその経営者たちは、大統領ドナルド・トランプの就任式に数百万ドルを寄付し、黒の蝶ネクタイを着用するパーティーや晩餐会を主催してトランプをたたえ、さらに数十億ドル規模の新規製造プロジェクトをトランプが自身の手柄として発表できるようにした。

ところが、第2次政権が始まって3カ月、トランプはテック企業の惜しみない好意に対し、ほとんど何の見返りも与えていない。

アップルのiPhone供給網を圧迫

トランプが先日発動した全面的な関税は、アップルのiPhone供給網を圧迫し、アマゾン、メタ、グーグル、マイクロソフトにとっては、人工知能(AI)を駆動するスーパーコンピューター構築コストの大幅上昇につながるものだ。

トランプは、AIや量子コンピューティングといった新興技術の研究に対する連邦政府の資金拠出をカット。トランプが進める移民規制の強化は、優秀なテック人材の供給が断ち切られるという懸念を引き起こしている。

加えてトランプ政権は、最大手クラスのテック企業の力を抑え込むために積極的な規制姿勢を維持する方針を示しており、来週には、フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップを所有するメタの分割に向けた重要な反トラスト(独占禁止)訴訟を開始する予定となっている。

トランプが大統領に就任して以来、アマゾン、アップル、グーグル、メタ、マイクロソフトの時価総額は合計で10兆ドルへと22%下落。テック銘柄の比重が大きいナスダックの指数は21%下落した。

トランプに取り入る努力は、テック業界のリーダーの多くが大統領に公然と敵対した第1次政権時とは大きく異なる。180度の方針転換とゴマすりを行うことで、テック企業の経営陣は、トランプが今回はテック業界に配慮を示し、エネルギーや自動車といった産業と同様に、テック業界もトランプが進める規制緩和の対象に含まれることを期待した。

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