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玉塚元一・経済同友会副代表幹事「トランプ関税の標的はあくまで中国」「日本にとって大きなチャンス」「ホームマーケットの価値を見直すべきだ」

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1985年慶応大学卒、2002年にファーストリテイリング社長。リヴァンプ、ローソンなどの社長を経て2021年ロッテホールディングス社長CEO。2022年に経済同友会副代表幹事に就任(写真:尾形文繁)

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玉塚元一経済同友会副代表幹事(ロッテホールディングス社長CEO)はトランプ関税に対して楽観的だ。「日本企業にとっては大きなチャンス」と語るその真意とは?

――トランプ政権の高関税政策をどのようにみていますか。

トランプ政権を突き動かす力は2つだ。1つは中国問題、もう1つが格差問題だ。

中国の過剰生産と過剰輸出は2001年に中国がWTOに加盟して以降続いている。Tシャツ製造のような軽工業から始まってエレクトロニクスなどハイテク産業へと急速に発展していった。

昨年11月に国連工業開発機関(UNIDO)が明らかにした試算によると世界の工業生産に占める中国のシェアは2000年の6%から2030年には45%に達するという。同じ時期にアメリカは25%から11%、日本は11%から5%に落ち込む。まさに中国一強だ。中国による世界経済支配を阻止して自由経済圏を守るというのが、アメリカの政策の本質だと思う。

アメリカ国内における格差問題も中国の台頭とリンクしている。トランプの岩盤支持層はかつて製造業が盛んだった州の没落した中間層。製造業をアメリカ国内に取り戻して安定雇用を生み出すために、極端な政策を唱え続けていくことになるだろう。

将来は本当のフリートレードへ?

――関税引き上げは、中国だけでなく日本などの友好国にも向けられています。

シリコンバレーの旧知のベンチャーキャピタリストと議論をしたところ、「現在の貿易体制は本当にアンフェアだ。アンフェアな状態が修正されれば、本当のフリートレード(自由貿易)が始まる」と言っていた。

1980年代以降の新自由主義とグローバリゼーションは経済を活性化させた一方、開放されているアメリカ市場で大きな利益をあげてきたのは事実。そうした歪みを修正するために、中国だけでなく日本やEUなども一律でターゲットにしているのだろう。

アメリカは国内市場が大きい。資源大国で農業生産も強い。ブロック経済によって鎖国のような状態になったとしても自給自足でやっていくことができる。だからこそ強気な姿勢を取ることもできる。

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