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広州、浙江、上海…トランプ関税で新たな活路を開拓する中国の5大ビジネス都市を直撃取材!前編「SHEIN村で起きている異変」

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トランプ関税のメインターゲットとされる中国。その中国では何が起きているか(写真・今周刊)

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4月3日に発表されたアメリカの相互関税は世界に大きなショックを与えた。世界第2位の経済規模を誇る中国では、数度行われたトランプ大統領からの「報復攻撃」により、事実上アメリカとは「全面的デカップリング」の状況にある。
史上前例のない極限的関税措置は、中国経済にどのような影響を及ぼしているのか。
輸出に重きを置く多くの中小企業は、この状況に対しどのように対応しようとしているのか。
南部の広州、佛山、浙江の義烏と杭州、そして上海で取材を決行。2回にわたって、世紀の関税戦争下の中国経済を読み解く。
後編「現場ルポ『脱米国進め内需拡大策を促進する中国』」はこちら

「もうSHEINへの供給は停止していまして…」

「大手ブランドやファッションは、現在、関税戦争の影響から国内で、格安で販売中です。ぜひ手に取ってみてください」

中国のアパレル生産拠点である広州の塘歩東村で、店主が張り上げるようなトーンで宣伝を繰り返していた。

塘歩東と西村は、広州の南東部、市の中心地から車で約30分のところにある。近年、中国の最大ファストファッションブランドに成長したSHEINのサプライヤーとして知られるようになり、別名「SHEIN村」とも呼ばれている。

SHEINは2008年に設立された。超低価格、豊富な品揃え、快速出荷、そして独自のアルゴリズムから「大ヒット」商品を生み出す拡販戦略により、コロナ禍の欧米で瞬く間に人気ブランドに成長した。

2023年にはZARAなどの世界ブランドを抑え、世界1位に躍り出る。塘歩東村などを擁する広州番禺南村鎮はSHEINの世界進出で、経済低迷中国の希望の星となったのだ。

しかし星の瞬きも墜落も一瞬にして起こる。取材班が南村鎮を訪れた1年前の活気は一切なく、今は失望と焦りの空気が満ちていたのだった。

「もうSHEINへの供給は停止していまして……」

服装市場店主の劉さんは力のない声でこのようにつぶやいた。

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