
「もうSHEINへの供給は停止していまして…」
「大手ブランドやファッションは、現在、関税戦争の影響から国内で、格安で販売中です。ぜひ手に取ってみてください」
中国のアパレル生産拠点である広州の塘歩東村で、店主が張り上げるようなトーンで宣伝を繰り返していた。
塘歩東と西村は、広州の南東部、市の中心地から車で約30分のところにある。近年、中国の最大ファストファッションブランドに成長したSHEINのサプライヤーとして知られるようになり、別名「SHEIN村」とも呼ばれている。
SHEINは2008年に設立された。超低価格、豊富な品揃え、快速出荷、そして独自のアルゴリズムから「大ヒット」商品を生み出す拡販戦略により、コロナ禍の欧米で瞬く間に人気ブランドに成長した。
2023年にはZARAなどの世界ブランドを抑え、世界1位に躍り出る。塘歩東村などを擁する広州番禺南村鎮はSHEINの世界進出で、経済低迷中国の希望の星となったのだ。
しかし星の瞬きも墜落も一瞬にして起こる。取材班が南村鎮を訪れた1年前の活気は一切なく、今は失望と焦りの空気が満ちていたのだった。
「もうSHEINへの供給は停止していまして……」
服装市場店主の劉さんは力のない声でこのようにつぶやいた。
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