
スーパーマリオブラザーズやドンキーコングといった有名なビデオゲームシリーズのメーカーである任天堂は、何カ月も前から4月2日の朝を祝うつもりでいた。
この日、任天堂は8年ぶりとなる新型ゲーム機「スイッチ2」の価格と発売日を鳴り物入りで発表。ニューヨーク市で開かれたイベントのステージにアメリカ法人社長ダグ・バウザーが登場し、マリオカート、ドンキーコング、カービィなどスイッチ2用のゲームタイトルを発表すると、ファンは歓声を上げた。
ところが、その日のうちに大統領ドナルド・トランプが関税を発表、世界中の株式市場を混乱に突き落とし、“マリオ祭り”をめちゃくちゃにした。新型スイッチはベトナム製で、関税リストに載せられた国の1つだったからだ。
発売前から値上げの可能性も
その2日後、任天堂はスイッチ2の予約受付を延期し、価格を450ドルから値上げする可能性があると発表した。どの程度の値上げになるのかは、はっきりしなかった。しかし9日、トランプはベトナムを含む多くの国々に対し追加関税の適用を90日間停止すると発表。この停止がスイッチ2の価格にどのような影響を与えるかについて、任天堂はコメントしていない。
任天堂が経験した今回の混乱は、二転三転するトランプ関税がテクノロジー系メーカーに広げている混沌と、今後何カ月にも及ぶ一般消費者向けテクノロジー製品市場の不透明感を示している。
トランプが中国以外の国々への関税拡大を延期する前に発表した声明で任天堂は、スイッチ2を6月に発売する計画に変更はないとしながらも、予約受付の再開時期や新価格の発表時期を明らかにしなかった。
ソーシャルメディアサイトのXやReddit(レディット)では、すでにゲーマーたちの不満が渦巻いている。この業界では、ゲーマーたちがゲーム機やソフトの値上がりを企業の強欲のせいだと非難することはよくある。だが、今回はトランプに怒りの矛先が向けられた。