90日間延期にはなったが大混乱は続く…「トランプ関税」が引き起こす危険シナリオ

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(写真:ブルームバーグ)

相変わらずトランプ関税が、世界を混乱させている。「相互関税」を4月9日に発動させたかと思えば、一部の国に対しては基本税率の10%を除いて90日間延期すると表明するなど、トランプ政権内でも混乱しているようだ。

とはいえ、短期間で株式市場が乱高下し、想定外にもアメリカ国債までもが売られて長期金利も上昇。にもかかわらず、中国に対しては報復関税への対応として125%の関税をかけると表明。同盟国である日本に対しても、基幹産業ともいえる自動車に対して25%の関税をかけたままだ。このまま推移すれば、世界はとんでもないインフレに見舞われることになる。

アメリカが高い関税を課した保護貿易主義は、歴史的に見て誤りであり、過去の大戦勃発の要因の1つと指摘する見解もある。にもかかわらず、トランプ政権が高関税政策に乗り出した背景には何があるのか……。過去の歴史に学びながら、異例の関税政策がどんなリスクや結果をもたらすのか、検証してみたい。

25代大統領の政策をそのまま模したトランプ関税?

トランプ大統領が導入した高関税政策には、お手本があることをご存じだろうか。20世紀初頭に大統領を務めた第25代大統領の「ウィリアム・マッキンリー」の関税政策だ。トランプ同様に、自分自身を「タリフマン(関税男)」と名乗り、反対を押し切って保護貿易を導入。しかし、その結果は悲惨なものに終わっている。

トランプ大統領は、1月20日の大統領就任演説でマッキンリー大統領の政策に触れて、アメリカを豊かにしたと褒めたたえた。実際に、アメリカのアラスカ州にある最高峰「デナリ山」を、以前の呼び名の「マッキンリー山」に改名。オバマ政権時代の改名を取り消している。それだけマッキンリーという名前に特別な意味を感じているのかもしれない。

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