90日間延期にはなったが大混乱は続く…「トランプ関税」が引き起こす危険シナリオ

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シナリオ5
反米政権が世界中で誕生し、アメリカは孤立する

もう1つ問題なのは、このまま長期にわたってトランプ関税が続けば、世界中の国に景気減速とインフレをもたらし、政治的な不安を増殖させることだ。

トランプ政権の重鎮であるイーロン・マスク氏が、ドイツやイタリアの極右勢力などに露骨な支持を表明しているが、今回の保護貿易政策で、トランプを支持する勢力は勢いを失い、逆に反米を前面に打ち出す政党の支持層が政権を掌握していく状況にもなりかねない。日本でも、反米を打ち出す勢力が現れれば、大きく勢力を伸ばす可能性だってある。アメリカ側につく国が激減していく中で、方向転換をしても間に合わないかもしれない。

世界は大きな転換点を迎えた?

第二次世界大戦の発端となったのも、1930年代の保護貿易によってドイツ経済が大きく疲弊し、それに乗じて勢力を伸ばしたのがナチスだった。最近の地政学リスクの高まりでは、EU(欧州共同体)加盟国の中に民主国家とは相反する政治体制も生まれつつある。日本でも、今後既存政党にはとらわれない価値観を持った政治体制が誕生する可能性がある。

世界が大きく変化した以上、新しい時代に対応した生き残り策を模索していくしか方法はないのかもしれない。「新しい戦前」のスタート、という言葉があるように戦争はもはや対岸の火事ではない。世界は、大きな岐路に立たされたと考えるべきだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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