
(イラスト:髙栁浩太郎)
仕事量と責任は激増、なのに賃金上昇は限定的。管理職の仕事の“罰ゲーム化”が深刻になっている。本特集では、そのわなから抜け出すためにできることを徹底解説する。
管理職になると幸福度や健康度が下がるというデータがある。2011〜20年、慶応大学が行った「日本家計パネル調査」の分析で、次の3つが明らかになった。
1つ目は「管理職に昇進しても幸福度は上昇しない」。2つ目は、管理職になることで「年収は上がったが満足していない」。最後に「管理職になると健康度が悪化した」という結果だ。管理職になると幸福度や満足度、健康度がマイナスになってしまうのには、1990年代以降の社会変化に基づく5つの理由があると考えられる。
社会変化に基づく5つの理由
組織のフラット化
バブル崩壊により組織がフラット化、管理職のポストが減って部下が増えたため、管理職の負担が増えた。
管理職賃金の伸び鈍化
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、管理職の賃金の伸び率が一般社員に比べて小さくなっている。昔は「管理職は2倍」などといわれたのに対し、報酬面での魅力が低下している。
労働者の多様化
ほぼ男性社員からなる画一的な職場から、女性や非正社員、高齢者ら多様な人材が働く職場になり、出産・育児・介護休業への対応で管理職の負担が増加。
ハラスメント社会
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