トランプ関税の効果と決定の内側(中)立案者の1人は「最も過激な保護貿易主義者」で、もう1人は「貿易戦争のための青写真」を執筆

本当に二国間で貿易収支の均衡を図るのか、アメリカ企業の本国への回帰を求めているのか、海外からの対米投資を促進したいのか、関税収入を財政赤字削減や減税の原資にするのか、外交交渉を有利に進める道具か、本当に相互関税でアメリカの“黄金時代”が来ると信じているのか、貿易戦争を誘発するのではないか、スムート・ホーリー法による大幅な関税引き上げが世界大恐慌を招いたように再び世界恐慌が起こるのではないか――。
こうした疑問や不安に対し、さまざまな情報や分析が提供されているが、情報の多さに人々は翻弄されている感がある。放射能が典型だが、人間は見えないものに対して過剰な恐怖心を抱きがちだ。トランプ関税もそれが目指す全体像が見えてこない。状況を正確に把握し先を予測するには、トランプ大統領の本音を知る必要がある。そのためにはその背後で戦略を立案している人物の考えを理解しなくてはならない。
トランプを守り収監された上級顧問ナバロ
相互関税導入をトランプ大統領に進言した2人の人物がいる。「Trade Czar (貿易皇帝)」こと、貿易・製造業担当上級顧問のピーター・ナバロと、「Tariff Czar(関税皇帝)」こと、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長のスティーブン・ミランだ。今回のトランプ関税政策は、この2人を軸に策定された。
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