
いやはや何とも目まぐるしい。例によって「トランプ関税」の話である。
4月10日、全国の朝刊各紙の1面には「相互関税が全面発動」の大見出しが躍った。しかるにそれは、読者の手に届く前に事実上の「誤報」になってしまった。日本時間の早朝、ドナルド・トランプ大統領が各国向け関税の「上乗せ部分」の発動を90日間延期すると表明したのである。
「90日間延期決定」でも、まだ安心できない
すべての国に対する10%の関税は、4月5日からすでに導入済みであり、これはそのまま残る。各国別の税率(日本の場合は24%)は、4月9日から発動されるはずであった。ところがその日の午後に突然、トランプ大統領は「報復してこない国の分は90日間の一時停止」と言い出した。日本に対しては、24%のうち14%分を「オマケ」してくれることになる。
ほぼ1週間前の4月3日の早朝、ホワイトハウスで相互関税が公表されたとき、筆者はあまりの衝撃にのけぞったものだ。
それだけではなく、3日午前中のうちに、この連載のもう1人の執筆者である慶応義塾大学・小幡績先生が脱稿した4月5日配信分原稿コピー(「トランプ自爆テロで資本主義の終わりが早まった」)が私の元にも届き、筆の速さにまたまた驚愕したものである。しかもこれで終わらず、さらにその1週間後、この延期発表であるから本当に振り回されっぱなしである。
ただし日本としては、これでひと安心というわけでもない。鉄鋼・アルミや自動車関税などが残っているし、90日後にどうなるかもわからない。それにしてもトランプ関税、まるで増改築を繰り返した田舎の温泉旅館のように、内部はほとんどラビリンス(迷路)である。
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