
2013年に始まる金融緩和で住宅ローンの金利は大幅に下がった。特にネット銀行は頭抜けて金利が低かった。これは、日銀が2012年から導入していた「貸出増加支援資金供給制度」が大きく関係していた。この制度は、「たくさんお金を貸す銀行ほど、安くお金を借りられる優遇制度」で、住宅ローンを多く取り扱うネット銀行はこれを利用して貸出残高を増やしていた。
しかし、こうした制度が2025年6月で終了したことにより、ネット銀行の金利は年初から0.3%程度上昇し、都市銀行に近い水準の金利となった。金利が最大の特徴である住宅ローンは商品の多様化が求められるようになった。
50年に返済期間を延ばすと…
その中でも、通常の返済期間である35年を延長する商品が増えている。50年と返済期間を延ばすと月の返済額は約25%減って、資金繰りは楽になる。
例えば、1億円を金利1%で35年返済の場合、月返済額は28万2286円で、1年の返済総額は借入額の3.4%相当となり、当初1年の元本の返済額は金利1%を引いた約2.4%となる。
相場変動がなければ、首都圏の物件価格の年間下落率は平均2.0%なので、平均的な物件を購入したら、つねに物件価格の下落率(2.0%)以上に元本の返済(2.4%)が進んでいることになる。つまり、物件価格すべてを住宅ローンでまかなう「フルローン」であっても、基本的には売ろうと思えばいつでも売れるということだ。
これが、返済期間50年になると、話が違ってくる。例えば、1億円を金利1%で50年返済の場合、月返済額は21万1859円で、1年の返済総額は借入額の2.5%となり、当初1年の元本の返済額は金利1%を引いた約1.5%となる。
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