
「株価暴落で不動産価格は下がるのか?」
最近、よく聞かれる質問がこれだ。以前、ある動画配信番組で「持ち家派vs賃貸派」で討論したことがある。
その番組で興味深い発見があった。2013年に始まった異次元の金融緩和について、賃貸派は株価上昇を予測していたが、持ち家派の私はマンション価格の資産インフレを予測していたのだ。株に興味がなかった私にとって、金融緩和と株価の相関関係は新鮮な衝撃だった。
株と不動産の長期的な相関性
金融緩和による資金量と株価には明確な相関関係がある。同様に、金融緩和と不動産価格にも相関関係が存在する。余剰資金は株と不動産に流れやすいため、両者には相関関係があるように見える。しかし、私はこれを結果論だと考えている。
確かに、株の売却益で持ち家を購入しようとする人は昔から一定数存在する。株価が一時的に下がると、こうした人たちは購入を中止や延期することがある。買い手の需要が減る事態ではあるが、不動産市況への影響は限定的だ。こうした買い手の絶対数が少ないことと、売り手が売却期間を延ばすことで対応できるためだ。
東京証券取引所(東証)での1日の取引額は5兆円前後で、取引件数は数千万件を超える。これに対して、不動産は年間で数十万件にすぎない。不動産の値動きはおのずと小さくなるもので、株のような短期的な波動は存在しない。株と不動産の相関はあくまで長期的な相関性があるだけで直接の相関関係はない。
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