バブル崩壊を待ち望んでも「マンション価格大暴落」がやってこない根拠

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不動産価格が下がるのは、不動産への資金供給量が減少する時に限られる。戦後、住宅価格の主な下落局面は3回だけだ。バブル崩壊と金融ビッグバンとリーマンショック。その際になぜ下がるかというと、新築を供給する事業者が資金ショートして倒産するからだ。これと同じタイミングで株価も下がっているだろうが、それは資金供給量が総じて下がっているからにすぎない。

デベロッパーが倒産すると、仕掛かり中の用地は銀行主導で同業他社に売却される。その際、次の取得企業が利益を出しやすい水準まで価格を下げて売られる。このため、一時的に新築マンション価格が下がるのだ。

「下落局面」が示す崩壊の条件

ちなみに、バブル崩壊から金融ビッグバン以降までの下げ幅は大きかったが、リーマンショック時は違う。新築価格が2割、中古価格が1割下落するほどにとどまった。中古は1年で1割下げたが、次の1年で元の水準に回復した。

ここからわかることは、新築価格が下がるにはデベロッパーの倒産が必要だということだ。一方で、中古価格の持ち主の個人は、住宅ローンと売却価格が逆転したら破産しなければならない。このため、中古価格は下がりにくい傾向が強い。

マンション価格が全体的に下がるということは、多くのデベロッパーの倒産と個人の破産を意味する。そうでないと、仕入れ価格以下に下がることがないことは知っておいてもらいたい。その引き金を誰が引くことができるだろうか。

バブル崩壊以降は、不動産の先安感から工場用地などの法人所有の大規模な土地が先を争うように放出された。何せ、先行きの価格は下がるのだから、早く売らないと損だと考えているわけだ。

この結果、用地の仕入れ価格が下がり、新築価格も下落した。新築価格の下落は中古価格にも波及する。含み損を抱えた中古マンションの所有者は、破産を避けるため「売らない」選択をする。実質的には「売れない」状態となる。

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