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【独占】日産・取締役会議長インタビュー/ホンダとの統合協議が決裂し「内田体制では持たないと判断」/社外取の責任と経営監督の課題

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木村康(きむら・やすし)/1948年生まれ。1970年、慶応大学経済学部卒業、日本石油入社。2010年JX日鉱日石エネルギー社長、2012年石油連盟会長、JXホールディングス会長、2017年JXTGホールディングス会長などを経て、2019年日産自動車の社外取締役・取締役会議長に就任。2022年ENEOSホールディングス名誉顧問(撮影:今井康一)
6月24日、日産自動車の横浜本社で開かれた株主総会は3時間超に及んだ。事前には社外取締役の責任を問う株主提案があった(「日産の「支配者にNO」突き付けた幻の株主提案」)ほか、当日の議案採決直前には社外取の再任候補者8人全員の不再任を求めて株主が動議を出す一幕もあった。
結果的に、株主総会では8人全員の続投が可決されたものの、日産の社内外で「執行役は交代したのに、取締役はなぜ残るのか」「役員報酬が高すぎる」といった声はなお残る。
日産の社長・取締役の選・解任や役員報酬はどのようなプロセスで決められてきたのか。業績悪化の責任は社外取にもあるのか。2019年6月から社外取と取締役会議長を務める木村康氏(ENEOSホールディングス名誉顧問)が、東洋経済の取材に応じた。

――株主総会では、日産の業績を悪化させた経営責任について執行役だけではなく、社外取締役にも説明を求める質問や動議が株主から何度も出されました。どう受け止めていますか。

業績悪化と言っても、半端ではない悪化だった。イヴァン・エスピノーサ社長兼CEOが株主総会で話していたように、株主のフラストレーションや不満が高まるのは当然のことだ。それに対して、次は結果をどう出すかということに尽きると思っている。さまざまな意見を聞いてやっていくしかない。

結果オーライで、若干緩んだところがあった

――日産の株価は長く低迷し、1年前の夏には業績急悪化が表面化しました。株主や市場関係者からは、「内田誠前社長兼CEO(今年3月末退任)の交代が遅かったのでは?」という声があります。日産の社長の選任・解任を決めるのは社外取が中心の指名委員会で、木村さんは2019年6月以降その委員を務めています。業績悪化と社長交代についてどのように議論してきたのでしょうか?

2019年12月に内田さんをCEOに指名した。当初は業績が伸び悩んだが、2023年度は業績が上向いて増配も達成できた。ただ、実際にはいろんなフォローウィンド(半導体不足による値引き販売の抑制や円安などの追い風)が吹いて、結果オーライなところもあった。こうした分析をきちんとすべきだった。

執行サイドに「どうしてよくなったのか?」と聞いても、「販売の質が向上しました」ときれいな言葉が返ってくる。「本当なのか?」と議論はかなりしてきたが、ボード(取締役会)メンバー全体としては結果がよければ、と若干緩んだところがあった。実際にはその後、2024年度に日産の業績は急激に悪化した。

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