窮地の日産、統合破談で問われる内田社長の進退 次の焦点は新たな経営体制を公表する3月中旬
2月13日、ホンダと日産自動車は経営統合に向けた検討に関する基本合意(MOU)を解約した。昨年12月23日の基本合意締結から1カ月半で「世紀の経営統合」は空中分解した。
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昨年の大みそか、日産自動車の内田誠社長は「年末詣」に行き、ホンダとの経営統合が着実に進むよう祈願し、さらに「社員を守る、そして会社を再び成長させる」と誓った。
初詣ではなかったのは「年末詣のほうがご利益はあると聞いたから」と言うが、人目を避けたかったのかもしれない。
年末詣のおよそ1週間前の12月23日、日産とホンダは経営統合に向けた基本合意書を締結した。記者会見場には200人近い報道関係者が詰めかけ、日本の大手自動車メーカー同士の経営統合は大々的に報じられた。一躍、内田社長は"時の人"となっていた。
しかし、統合の先行きはスタートから暗雲が漂っていた。記者会見でホンダの三部敏宏社長は「経営統合が成就しない可能性もゼロではない」と語り、会見後の写真撮影では握手を拒んだ。熱気なき会見を中継で見ていた日産の取引先幹部は「これではうまくいかない」とこぼした。
その予感は1カ月半で的中することになる。日産とホンダの統合は2025年2月13日にスピード破談となった。
業績予想の下方修正は今期3度目に
「日産がホンダの完全子会社となった場合、われわれにとって自主性はどこまで守られるのか、日産が持つポテンシャルを最大限引き出すことができるのか、その点について最後まで確信を持つに至らず、この提案を受け入れることはできなかった」
2024年4~12月期の決算発表に、急きょ統合破談の説明が加わった2月13日の記者会見で、内田社長はホンダからの子会社化提案を断った理由をそのように説明した。ただ、自主性やポテンシャルを語る前に、日産単独での生き残りは難しくなっているのが現実だ。
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