ホンダ・日産 「幻の統合交渉」45日間の舞台裏 交渉発表後すぐに"子会社化"を検討開始
ホンダは巨額の自己株買いで覚悟を示したが……
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ホンダ・日産自動車の「世紀の統合」は交渉入り発表からわずか45日で泡と消えた。両社のボタンの掛け違いは、発表時の2024年12月23日から始まっていたようだ。記者会見で「日産のどこに惚れましたか」と聞かれたホンダの三部敏宏社長は、苦笑いしながら「難しいなぁ」としか答えられなかった。
企業同士の経営統合は、人と人との結婚によく例えられる。ホンダは結婚相手のどこが好きか、答えられなかったのである。
どこが好きか答えられなった理由
この会見の舞台裏について関係者はこう語る。「記者会見の場で、日産のターンアラウンド(リストラ)計画についてもう少し踏み込んで説明することをホンダは日産に対して求めていた。だが内田氏が対応しなかったことで、ホンダ内部では日産は『本当に再建する気があるのか』といった意見が出始めた」。
日産は昨年11月7日、2025年3月期中間決算発表の場で、全社員の7%に当たる9000人、生産能力の20%をそれぞれ削減するなどのリストラ計画を発表していたが、具体的な内容や実施時期は明示しなかった。工場閉鎖などに踏みこまなかったことや、リストラのスピードの遅さを問題視したホンダは、提携交渉入りの際に、リストラ計画の詳細を明かすように求めたというわけだ。
ホンダは統合交渉の発表と同じ日、上限1兆1000億円で、発行済み株式の24%に上る自己株買いを表明した。
業績悪化の日産を抱き込む提携と市場から見られ、株価が下落するのを回避するとともに、日産を抱え込んでも財務力には問題ないと示すことをホンダは狙ったと見られる。
ホンダのネットキャッシュは12月末時点で約3兆8000億円。1兆1000億円という規模は、その約3割に相当するが、「ホンダ取締役会の中でもこの規模の自己株買いに反対の声があったが、藤村英司CFOが押し切った」(ホンダ関係者)。
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